【どこまでやればいいの?】競技特性に応じたトレーニングってどういうこと?本当に必要なの?

何かスポーツをしている場合、それがレクリエーション目的であっても競技スポーツであっても今より上手くなりたいと思うのは自然な流れかなと思います。
そんな中、競技動作でウィークポイント(弱点)だと認識している場面ってあると思います。そこが改善すればもっとパフォーマンスが上がりそうですよね。

実際にその考え方はとても重要です。ただ、特定の部分を意識しすぎて考え方が近視眼的になると上手くいきません。
今回はそんな落とし穴を回避する方法をお伝えします。

競技特性を考える ≠ 一部の動作を抜き取る

まずは結論から。
『競技特性を考える』、『競技に使えるトレーニングをする』ということは、『そのスポーツの動作を抜きだしてトレーニングする』ことではありません。
私はそう考えます。

例えば、サッカーにおいてボールを強く遠くに蹴りたいという課題があった時に思いつくのはどんなことでしょうか?
パッと思いつくのはキック動作を鍛えればよさそうですよね?
あなたのイメージする通りボールをキックするには後ろに引いた脚を前に振り戻した力を利用します。この時のパワーが大きくなればなるほどボールに伝わるパワーも大きくなるので、遠くに飛ばせそうですよね?だから、脚を振り戻すための動作に使われる筋肉を鍛えればいいんだ!という発想になりそうですが、実はこれではあまりうまくいかないんです。

パフォーマンスの高い選手のボールインパクトの瞬間のスピードって筋肉の収縮速度よりも断然速いということが分かっています。
上にサラッと【パワー】と書きましたが、【パワー=力×スピード】です。筋肉で作った力をできるだけ速いスピードでボールに伝えることが遠くまでボールを届けるパフォーマンスを最大化します。

更に力と速度は反比例する関係にあるので強く力を出そうとするとスピードが落ち、速く動こうとすると力が小さくなるんです。
【力:80 × スピード:20】よりも【力:50 × スピード:50】の方が値が大きくなりますよね。前者は1600で後者は2500です。

力はそこそこでいいので、インパクトの瞬間のスピードを上げる方がパフォーマンス上がりそうですよね。
なので、この場合で言ったらキックのためのももを引き上げる筋トレではなく、いかにリラックスして脚をムチのようにしならせて振るか?を考えた方がいいんです。

枝葉ではなく、幹の部分を捉えよう

clear light bulb
Photo by Pixabay on Pexels.com

このように、目で見て持つ第一印象やまず思いつくこととその本質的な部分は結構ギャップがあったりします。

もちろん、目で見たことから考えることしかできないですよね。知らないことを判断の基準にはしようが無いです。だからその情報を活用するしかないんですが、起きた現象に囚われ過ぎるとそれもまた本質を見逃すことになる原因を作ります。末端で起きていることにばかり注目してしまうと、あまりいい結果にたどり着かないという印象を持っています。

これが枝葉ではなく幹の部分を見るようにしようというイメージです。「木を見て、森を見ず」、「全体を俯瞰する」とかも同じイメージですね。どれも近視眼的な視点ではなく、少しズームアウトして何が大切なのか?を考えながら見るクセを付けるといいと思っています。私も絶賛訓練中です。多分、これに終わりはないですね。

課題とする動作から色々なものをそぎ落として、最後に残った要素を高めるように意識しています。
前述のサッカーの例をまた挙げると、蹴り脚の筋力はさほど重要ではないことが1つのポイントです。それに加えてリラックスして蹴り脚を速く振るためには軸になる脚を強く踏み込み、その瞬間の体勢が安定していることが重要になると考えます。何事も土台の部分が安定しないといいパフォーマンスは発揮出来ないんですよね。基礎がしっかりしていないところに高層ビルは建たないし、軸が安定していないと独楽が良く回らないのと一緒です。

余計な動きを出さずに安定感が大きくなれば力の伝達はよりロスを出すことなく目標物まで到達します。ボールキックで言えば、軸脚を踏み込んだ瞬間のパワーを体が受け取って、蹴り脚に伝達するのですが、その時に体幹部分がグニャグニャしているとパワーがあちこちに分散してしまうんです。グニャグニャ動くことで衝撃を吸収しているとも言えます。踏み込んだ瞬間には”100”あったパワーも、あちこちで緩衝されてボールに届くころには”60”とかになってしまう感じです。

じゃあ、幹の部分って何?

パフォーマンスを高める要素は多くあれど、短時間で大きな力を発揮することがほとんどのスポーツの共通点ですので、結局は『いかに自分の持っているパワーを余すことなく発揮して、対象物に伝えるか』に収束していきます。

参考までにワンハンドダンベルスナッチの動画です。
こういう瞬発的な動きがスポーツでは重要になってきます。

その意味でバーベルを使ったクリーンやダンベルでも出来るワンハンドスナッチなどのクイックリフトはとても有効な選択になります。これらで使う重量物をいかに安定した姿勢で加速させられるかを考えていくことがパフォーマンスアップにつながります。難易度は結構高いので継続した取り組みが必要です。

可変式のダンベルがあれば段階的に負荷を上げていくことが出来ます。バーベルよりもコンパクトですし、動作もクリーンよりスナッチの方しっかりできる場合が多い(クリーンはキャッチが難しいです)のでダンベルスナッチはおすすめです。
下のリンクで紹介している可変ダンベルは値段もお手頃でスペースも取りませんし、形もノーマルなダンベルに近くて取り扱いやすいのでいいですよ。ワンタッチで重量変更も可能です。
詳しくはこちらでどうぞ。【捻って変える!】ハイガー産業のアジャスタブルダンベルをレビュー【良心価格】

競技の動作内では改善しないからトレーニングをする

person lifting barbell indoors
Photo by Victor Freitas on Pexels.com

トレーニングには【特異性の原則】なるものがあります。これはやったことがその条件化で強化されるということです。筋肉を付けたければ筋トレ、持久力を付けたければランニングをしましょうということです。筋肉ムキムキになりたいのにマラソンの練習をする人はいませんよね。

あとは筋トレの中でも、あなたが普段やっている可動域でのみ動作は強化されているので注意が必要です。いくら重たい重量を扱ってスクワットしていても、しゃがんでいるのかどうか分からないような小さな可動域で動いていてはほぼ効果は期待できません。椅子からの立ち上がり動作を強化したいのであれば少なくてもそれと同じだけの関節角度は作らないといけなくなります。

この【特異性の原則】はスポーツでも同じことが言えます。スポーツの練習をしていればその動きに関わる動作が強化されてスポーツに必要な要素が最適化されます。だから、スポーツを上手くしたいのであればそのスポーツの練習をたくさんするしかないんです。ただ、そのスポーツ動作を繰り返しているな中でも得意な動作、不得意な動作は出てきます。高いレベルを目指すほどその不得意な部分が制限因子となってあなたのパフォーマンスアップを阻むでしょう。

ここでのポイントは、あなたにとっての不得意な動作はそのスポーツ動作内では鍛えられないということです。特異性の原則が当てはまるならその動作をしていくことで強化されるはずですからね。上手く他の能力でカバーしたり、少し無理をして別の部位が代わりにその動きを作っているのかもしれません。

例えば、サッカーのボールキックを繰り返すと股関節の動きが硬かったり、可動域を十分に取れないことが原因で、腰痛や最悪の場合は腰椎分離症という背骨の骨折につながったりすることがあります。この動作改善は同じボールキックの練習だけで解消できるとは思えませんよね。その動作のどこかに原因があってケガにつながっているわけですから。

素早い動きの中で股関節を大きく動かす可動域、その瞬間の体幹の固定力、これらをスムーズに行う動きのコーディネーション能力…この辺りが重要ポイントになってきます。

こういった大切になるそれぞれの要素を分解して、高めて、統合して、スポーツ動作に戻す…この繰り返しです。だからスポーツの動作とは別に筋トレだったりパワー発揮に特化したトレーニングが必要になってきます。ここでも最終的にはクイックリフトがポイントになると考えています。

HAIGE ダンベル 可変式 20キロ 2個 セットトレーニング器具 人気 HG-AJDB01

大枠で捉えて、トレーニング内容はシンプルに

woman in red tank top jumping on obstacle
Photo by Andrea Piacquadio on Pexels.com

ここまで、
・あまりスポーツ動作の中の一点にフォーカスしすぎて視野が狭くなってもいいことはないということ
・色んな要素がある中でパフォーマンスを高めるには何が重要なのかを考えていくこと
・余計な要素、重要度が低そうな要素はそぎ落として考えていくこと
・スポーツ動作では高まらないから別でトレーニングが必要なこと
・色んな要素は最終的にクイックリフトに収束しパフォーマンスアップにつながっていくこと

をお伝えしてきました。

特定の動きにこだわり過ぎず、かつ極力シンプルにトレーニングプログラムを組むようにしてみましょう。

そして、最後に。
前提として重要なのが、スポーツの動作は他の状況で再現するのはとても難しいということです。

そのスポーツを行う天候や気温で、競う相手がいる中で、同じ心拍数で、同じ疲労度の中で…考え始めたら切がないくらい複雑な条件が絡んだ状況でスポーツをしているなと改めて思います。それら全てを再現することはほぼ不可能と言っていいでしょう。だからこそ、別でトレーニングして高めた要素をスポーツの中で研いでいく作業が必要になります。

トレーニングの限界も理解しつつ、取り組んでいくことが重要ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。

【どこまでやればいいの?】競技特性に応じたトレーニングってどういうこと?本当に必要なの?” に対して1件のコメントがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です