【スクワット】しゃがむ深さで出る結果が変わることを知っておこう。

スクワットは下肢を鍛える場合の
王道of王道のエクササイズです。

バリエーションがとても豊富で
重りを使わずとも条件を色々と
変えるだけで負荷を増減することが
できます。

・動作スピード
・足の置き方
・どこで重量物を持つか
などなど、目的に合わせて
組み合わせは多彩です。
その中で【しゃがむ深さ】って
どのくらい気にしてますか?

実はどこまでしゃがむかの違いで
同じようにスクワットしても
その結果が変わってきます。

あなたがトレーニングで
いまいち効果を感じないのは、
もしかしたらしゃがむ深さが
原因かも。

この記事があなたのトレーニングの
質を高めることにつながれば幸いです。

スクワットのバリエーションについては
こちらの記事もどうぞ。
【種目紹介】色々なスクワット集

スクワットはフルにしゃがみ切るのがベスト!

three people doing exercise with different positions
Photo by Mikhail Nilov on Pexels.com

今回は、こんな論文から話を進めてみます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31230110/

論文タイトルを訳すと
『下肢筋量における
 異なった深さでのスクワットトレーニングの効果』
って感じです。

つまり、しゃがむ深さを変えた時に
その効果として筋肉量にどんな違いが
現れるかを見た研究です。

結論から言うと、
深くしゃがみ切るところまで腰を落とすのが
良さそうです。つまりフルスクワットです。

もちろん、あなたの膝や腰の状態で
どこまでしゃがむのが安全かつ効果的かという
ポイントは変わります。
膝が痛い人に無理強いしてフルスクワットを
させることを良しとするわけではありませんよ。

あとはどんな目的で
トレーニングしているのかにも
よりますね。

椅子から立ち上がれる力が出せれば十分なら
その高さまでに調整するのも選択肢の一つです。

今回も深くしゃがむことの効果を書いていきますが、
決してこれが全てではありません。

その点は先にお伝えしておき、
その上でフルスクワットでどう変化したのかを
論文の結果と一緒に見ていきます。

増えた筋量も出せる力も大きかった。でも…

実験の概要は、
17人の男性を
フルスクワット群(FST)8名と
ハーフスクワット群(HST)9名に
ランダムに分けます。

それぞれのグループは2回/週の頻度で
10週間のトレーニングを行い、
トレーニング期間開始前と終了後に
MRIを使っての筋量の変化と
フルスクワット、ハーフスクワットの
1RM測定を行いました。

1RMとは1回だけ持ち上げられる重量
を指します。
つまり同じ条件で発揮できる
最大の筋力が変化したのかを見ています。

測定の結果としては
フルスクワット、ハーフスクワット共に
扱える重量は大きくなりました。
特にフルスクワットについては、
トレーニング実施期間をFST群で過ごした
人達の増加量が有意に高かったという結果が出ました。
増加量 → FST:31.8±14.9%、HST:11.3±8.6%
     (p=0.003)

30%も1RMが伸びたんです。
かなりすごいです。
100㎏を扱うのが限界だった人が
10週間で130㎏を扱えるように
なるんですからね。

しかも統計上、
1000回この実験をしたら997回同じ結果が
出るという計算も出ているので
まず偶然じゃなさそうです。

筋肉量についても両グループ共に増加しました。
膝を伸ばす筋肉については
どちらのスクワットグループでも
同じように増えたのですが、
内転筋(内もも)と大殿筋(お尻)の筋肉は
FSTで有意に増加しました。

ここまでをまとめると、
深くしゃがんだ方が扱える重量が大きくなり、
筋肉もより大きくなるということが言えます。

筋トレはその上下動を
大きく取るようにした方が
効果的なのは間違いなさそうです。

でも…
実はトレーニング期間を経ても
大きくならなかった筋肉が存在します…

大腿直筋(もも前の筋肉の一つ)と
ハムストリングス(もも裏)です。

これは何故でしょうか?

一定量の張力が掛からないと筋肉は大きくならない

何故この2つの筋肉の状態には
大きな変化が無かったのかを
考えてみましょう。

そのためには、
まず大腿直筋とハムストリングス
この2つに共通する”二関節筋”
の説明が必要ですね。


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2つの関節をまたいで
付いている筋肉を”二関節筋”と言います。
この大腿直筋とハムストリングスの場合は
どちらも股関節より上の骨盤から
膝より下の脛骨(すね)に筋肉が付いています。
大腿骨(太ももの骨)には全く触れていません。

こう言った二関節筋は収縮すると
2つの関節に動きを出します。
大腿直筋が単独で収縮すれば、
”股関節が曲がり、膝が伸びる”動きが観察できます。
いすに座って、伸ばした脚を持ち上げるような
ところをイメージすると分かりやすいかもしれません。
(厳密にはこの時腸腰筋も収縮しています。)

この他にもふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)、
力こぶの筋肉である上腕二頭筋なども二関節筋です。

これらの筋肉は近位(体幹部付近)で作った大きな力を
遠位(手足の先)に伝えていくのに重要な役割を
果たしています。

ジャンプ動作時の膝から下の動きを考えてみます。
ジャンプするには膝を伸ばす速い動きが必要ですよね。
この動きは大腿直筋を含む大腿四頭筋という
もも前の筋肉が収縮することで発生します。

急激に膝が伸ばされると、先程ちらっと例に挙げた
腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)も瞬間的かつ急激に
引き伸ばされます。

実は筋肉には急激に伸ばされると
それに抵抗して収縮する性質(伸張反射と言います)
があります。
膝が伸びて腓腹筋が急激に引っ張られると
伸張反射で収縮しようとします。

そしてこの腓腹筋、
足首をまたいでかかとの骨に付着しています。
付着部であるかかとが上部に引き上げられ
つま先に力が伝わるのでジャンプ動作につながります。

このようにより中枢(体幹)に近い部分で発生させた
大きな力を効率的に末端に伝えていくのが
二関節筋の超重要な役割なんです。
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…と、長くなってしましましたが
ここまでが本題に入る前の予備知識です。

話を戻すと、
今回の実験ではこの二関節筋について
肥大効果があまり見られなかったんですよね。

これもやはり2つの関節をまたいでいるという特徴が
関係しています。

一定以上の張力(付着部を引きよせる力)が
掛かることが筋肉を大きくするためのシグナルと
言われています。
つまり強く収縮して
筋肉の付いているところ同士を近付け合うような力を
一定量以上掛けないと効果的に肥大しないんです。

二関節筋ではそれがしづらいんですね。
スクワットで言えば、
股関節と同時に膝も動いてしまうので
動作スタート時の筋肉の長さを終始保てないんです。

ゴムを引き伸ばすと元の長さに戻ろうとして
強い張力が生まれますが、
二関節筋ではその張力最高点が
動きと共に移り変わっていくだけで張力の総量は
そこまで大きく変化していないイメージです。
これに対して大殿筋など
1つの関節をまたぐ単関節筋では
動きの中でも支点を変えずに
大きな張力が生まれるので
肥大しやすい条件が整います。

こう言った理由で大腿直筋やハムストリングスでは
筋肥大が起こりづらかったのではないかと考えらえます。
少しマニアックなお話でした。

全身にあるいくつかの二関節筋は
”効率”よく力を受け渡す役割を持っています。
この”効率”とは全ての筋肉が肥大を起こさずとも
大きな力を発揮できる仕組みと
言い換えることができます。

それを考えると二関節筋が肥大しづらいのは、
エネルギー効率を高く保つための
戦略だったりもするわけですね。

つまり、からだとしては
ベストな形態変化なのかもしれません。

フルスクワットをしよう!できそうなら+αで…

まとめます。

結論から言うと
できる限りフルスクワットを目指して
取り組んでいくことをおすすめします。

もちろん、色々な理由で
そこまで可動域が取れない場合も
あると思います。
できる範囲で問題ありません。

ただ、筋トレとしては
重量物の移動距離が
長ければ長いほど
筋肉に大きな仕事をさせることになるので、
効果は見込めるということは
覚えておいてほしいと思います。

今回の結果のように
二関節筋が肥大しなかったのは
自然な現象だと思います。
末端が重たくなるほど物体を動かす効率は
悪くなるので不要なエネルギーを必要とします。
それを解消し、効率よく力を伝えるための機能が
二関節筋ですからね。

スクワットなど複数の関節を動員する動きで
大方の筋肉はしっかり鍛えられると思うので
まずはそちらを優先しましょう。

もしプラスするのであれば、
SLRやグッドモーニングなど
単一の関節を動かす種目を取り入れて
今回肥大効果の薄かった筋肉に
アプローチしてみてもいいかもしれません。
あくまでも補助的な意味合いです。

まずはしっかりスクワットです!
コツコツ積み上げましょう。

この記事がお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。