【FMSまとめ②】実はとても計算された動きだった!何度も同じ動きを繰り返して確認精度を高めている話
なかなか読み進められない本No.1かもしれないです。
「ファンクショナルムーブメントシステム」
2/2現在、SFMAという痛みがある場合のスクリーニングについて各論を進めていますが、これも場合分けが色々ありまして、1度で理解するのは厳しいですね。
かと言ってここで放棄するつもりもないので、少しずつまとめてシステム全体を俯瞰できるような成果物を作りたいなと思います。しっかり使えればかなり有効な手段だと思っています。
正直、世に出回っているFMSの情報って何となく表面をさらったくらいの精度な気がするんですよね。しっかり読み込んで自分のために、あなたのために分かりやすいようにまとめようと思います。
今回は、ここまで読み進めてポイントだと思う点について書いていきます。形だけまねているときっと気付けない点だと思うので、読んで行ってもらえると嬉しいです。
では早速いってみましょう。
FMSってこういうことか!動きの質を見よう
FMSが他のチェックと違うところは、動きの量ではなく、質を見ているということです。よく行われている検査、チェックはどのくらい関節角度が出たか、どのくらいの重量を扱えたかをその判断基準にしています。
つまり量ですよね。この理由としては、量を基準にすれば再現性が高いからです。前回と今回の違いが分かりやすいし、計る人が変わっても同じ基準で測定できますしね。シンプルに分かりやすいんですね。
それに対して、質は定量化しづらいです。「質を定量化」とかもはや語彙力!って感じですが、それくらい難しいんですよね。質をどう見ればいいのかっていう基準を誰も打ち出すことができず、各自が勉強してきた内容を基に基準がバラバラな測定が限られた分野の知識で行われていたんです。その背景を持ってFMSは考案されたとなっています。
『質』を合言葉に分野横断的に確認できるものという位置づけです。革新性をアピールしたいポジショントークであることを差し引いても、理念にはとても共感できます。
アメリカ人ってこういうの好きですよね。
ファンクショナルトレーニングも「PT(理学療法士)からAT(アスレティックトレーナー)、SC(S&Cコーチ)までを貫く共通言語を持とう」ってコンセプトがあります。なんか似てる感じしますよね。これすごく大切なことだと思うんです。
一人のクライアントに色々な職種が関わる現在において言っていることが理解できないって致命的ですよね。同じことを指しているのに使う言葉が違うから十分に理解されないっていうのももったいないです。コミュニケーション大事です。
個人的には、私ができることって世の中にある手段の数を考えたらホントに少ししかないと思っています。目の前のクライアントにとってのベストアンサーを私以外が持っているってことがこの先きっとあります。そんな時に頼れる先があることと、しっかりコミュニケーションが取れることが大切ですよね。
その一つとしてFMSは動きの質を見る目を養い、それを共通言語にしようと言うことだと理解しています。
そんな記事を以前書いているのでこちら 【ネットワーク】専門家集団のコミュニティを作りサービスの幅を広げたい も是非どうぞ。
1つの関節の動きを色々な条件で動かしてスクリーニング
FMSの本題に入っていくんですが、読めば読むほどよく考えられたシステムだなと思います。スポーツにおけるパフォーマンスを上げる云々ではなく、人が機能的に動くためのスクリーニングを7つの動きに集約したのがまずすごいと思います。そんな、たった7つにまとまりますか?すごいですよね。
でもそれ以上にすごいと思ったのは同じ部位の機能について少しずつ条件を変えて繰り返しチェックしていることなんです。詳しくはこの後に例を挙げていきたいと思います。しかも、より機能を重視していると思うのが左右の関節を別々に動かしていることです。実は人の動きって左右の動きが別々なパターンが圧倒的に多いですよね。両脚踏切でジャンプすることなんて日常を考えれば滅多にないじゃないですか。その点をとても考慮していると思います。
一つ具体例として、
以前、ASLR(アクティブ ストレート レッグ レイズ)の姿勢について質問されたことがあります。ASLRについては下の図を見てください。
これについてもどんな目的で行うかで取る肢位(姿勢)が変わります。大腿四頭筋の筋トレ要素を強く持たせたいのであれば反対側のひざを立てて、上下動の幅を規定して質を保つもは一つのアイディアですよね。その姿勢の方が腰の反りも出にくいので腰痛の不安がある場合も有効かもしれません。
ただ、これはどちらの股関節も屈曲位なんです。この姿勢でしっかりできても他の姿勢でどうなるかは分かりませんよね。ましてや、実際に立って動こうとした時に中腰姿勢で脚を振る場面てそうそうないです。でもこの姿勢での動作はそれしか学習できないんじゃないかと思うわけです。
そう思うとFMSのように持ち上げない側の脚はまっすぐに伸ばした状態でASLRをやるのがより機能的な動きに近いんじゃないかなという結論に至るわけです。
もちろん、全てをそうしろとは言いません。クライアントに必要かつ低リスクで出来る内容からプログラムすればそれが正解です。
他にも、
・手のひらや足うらが床に接しているのか
・空中にあるのか
・両足が揃っているのか
・両手一緒に万歳なのか
・上下から背中に回すのか
など色々な条件で動くようにFMSは設計されています。一つひとつの動きを横断的に見ていく必要があるんですね。各スクリーニング種目を独立した目で見ているとまず気づけない点だと思います。
股関節1つ取ってみても
股関節に注目してもそのバリエーションの多さにびっくりします。
文字にしてもよく分からないので図をズラッと並べてみます。色々あります。
以下、図の中の注です。
OKC:床と足うらが接していない
CKC:床と足うらが接している
EXT:もも前と胴体が離れる動き
FLEX:もも前と胴体が近付く動き
でも、結局よく分からないんですが…
こんな声が聞こえてきそうです。でも安心してください。私も含め多くの人がそうだと思います。笑
私もまだまだ理解が足りない状態です。
どんなものでもそうですが、今日やったから明日できるようにはなりません。繰り返し見ていく中で、触れていく中で少ずつ理解が深まるものです。
FMSはシステム全体を理解しようとするとかなり時間を要するなと思っています。しっかりと使いこなすためには反復とやり続ける忍耐が必要です。
FMSの雲を掴むようなフワッとした話の中で大切なのは痛みの有無です。『痛みは全てを変えてしまう』という語が印象的です。痛みが出たらFMSは終了です。
・機能的に動けているか
・痛みがどうか
この2つがFMSの大きなポイントです。細かいことは抜きにして、しっかり最後まで動けているか、痛みが無いかをモニターしていくところから取り組んでみるといいと思います。また、どうしても点数化できない細かい動きの特徴が出てきます。これについては内容を記述していくしかないかなと思っています。どんな動きでエラーが出るのかを取りためていくのは大切な取り組みだと思っています。
色々なパターンの動きでその質をチェックしよう
今回の記事では、FMSが一つの関節に対して色々な条件で動作を要求してその動き方、機能性をチェックしているものだということが少しでも伝わればOKです。
大まかに何をどうやって見ているのかがはっきりすれば少ずつ精度は上がっていくと思っています(個人的には願っています。笑)。
書籍と実際との行ったり来たりかなと思います。やめたらそこでストップです。何も起こりません。少しずつでも進めていければと思います。
興味ある方、ぜひ一緒に頑張りましょう。
まだ、書籍を見たことが無い方は是非この機会に手に取ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。