【コンディショニング方法】今まで→超回復理論、これから→フィットネス疲労理論【まとめ】

トレーニングをしていると1度は聞くであろう【超回復】という言葉、トレーニング後48~72時間後に訪れるトレーニング前よりも筋力が上がっているとされる状態ですよね。この話、シンプルで分かりやすいのでかなり受け入れられてきたと思います。ただ、少しシンプル過ぎて説明がされていないようなところも正直あると思っています。そこで今回は、それに代わる【フィットネス疲労理論】の解説をしてみようと思います。ベストコンディションがいつ来るのか、トレーニングの間隔をどのくらい取ればいいのかが可視化できるツールでもあるのでスポーツをしている方に限らず参考にしてみてください。

フィットネス疲労理論で考えましょう

elderly sportsman resting on exercise mat after training
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この理論の優れていると思うところは、未来予想ができる所ですね。かなり複雑な計算にはなるのですが、もしピークパフォーマンスを発揮したい明確なタイミングがあればその時にパフォーマンスを最大化できるようにトレーニングプランをデザインすることができます。この点が超回復理論とは大きく違うところです。

超回復は、
「トレーニングしたら一定期間休みましょう。2日くらい時間が経てば、能力がトレーニング前より少し上がっているはずなのでそのタイミングで次のトレーニングをしましょう。」っていうイメージです。分かりやすいんですが、フワッとしていますよね。機械的に2日空けても、本当に能力が上がっているのかどうか、つまりパフォーマンスが向上しているのかどうかを確認できる術がないんですよね。

筋トレを例に出すと、

トレーニング直後は発揮できる筋力が疲労によって落ちていて

筋力は時間の経過と共に回復し、トレーニング前より上がっているタイミング(トレーニングから48~72時間後)がある

その時に次の筋トレをする

これを繰り返せば、少しずつ筋力は増加するっていう理論です。
繰り返しますが、筋力の変化だけに注目しているのでシンプルなんです。だから受け入れやすいんですが、筋力という表出する結果(アウトプット)の変化を追うので出たとこ勝負みたいなところもあります。扱える重量が上がっても下がっても何故その結果が出たのかがいまいち分かりづらいと感じます。

3年くらい前の記事なのですが、『Tarzan』の特集でフィットネス疲労理論が挙げられました。その時に連動して計算用のエクセルシートがアップロードされました。2021年2月現在でまだリンク有効だったので参考までに貼っておきます。こちらは筋トレではなくランニング用です。走っている方はそのまま流用できるのでのぞいてみてください。
https://magazineworld.jp/tarzan/event-735/

このURLからダウンロードできるシートを見てもらうと分かりますが、フィットネス疲労理論は【フィットネス】、【疲労】、【パフォーマンス】の3つの要素をモニターしています。これについても少しだけ解説します。

フィットネスと疲労とパフォーマンス

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スポーツに限らず、したいと思う動作や運動量などの【パフォーマンス】は【体の準備状態(フィットネス)】と【疲労】の大小で決まります。

『パフォーマンス = フィットネス ー 疲労』です。
フィットネス > 疲労 であれば、パフォーマンスはプラス
フィットネス < 疲労 であれば、パフォーマンスはマイナス

と言うことになります。

もう少し詳しく見てみます。
何かのトレーニングを完遂した直後はそのトレーニングを消化できた、からだが要求された動きを達成できたという意味でフィットネスは最大です。からだはその強度、量の運動に対して準備状態にあるという風にも言えます。ただ、この時の疲労状態も最大です。「からだの準備状態は最大、でも疲労状態も最大」なので結果としてみえるのは「もうできない」って感じになります。極端に言えば、『フィットネス ー 疲労』が限りなく『0』に近い状態です。疲労はトレーニングによってガツン!と高値を叩き出しますが比較的早く解消されます。フィットネスは疲労ほど大きく伸びませんが落ち幅も小さいです。それをイメージしたのが上の図です。この変化量の違いで『フィットネス ー 疲労』つまりパフォーマンスが最大化されるタイミングがあります。そこがあなたがベストパフォーマンスを出せるタイミングと言うことになります。

すぐにパフォーマンスの向上が見えない訳はこういうこと

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トレーニングを続けていくと、当然疲労が溜まります。しかもその疲労は日付の変更と共に解消されて『0』になるわけではありません。もちろんフィットネスもそうですね。寝て起きると全てリセットされていたら積み上げることができませんからね。

だから2日前の高強度トレーニングでの疲労と前日の低強度トレーニングでの疲労を合わせて今日の状態を把握しなければいけないんですね。2日前の影響も受けているわけですから。そうなるとトレーニングを続けていると数日前の解消され切れていない疲労が積み重なってパフォーマンスを押し下げている状態が続くわけです。毎回のトレーニングは達成できてフィットネスは上がっているのですが、表に見える状態としてはそのトレーニングに見合わないようなパフォーマンスになっている感じです。

でも大丈夫です。
疲労が落ちてくれば、積み上げたフィットネスはまだまだ残っているので差し引きで表されるパフォーマンスは上がってきます。この様に、アウトプットされるパフォーマンスはトレーニングを重ねていれば少し遅れて最大化されるのがイメージできるかと思います。

スポーツ選手はこのタイミングと試合のタイミングを極力一致させようとしているんです。これがいわゆる【ピーキング】と呼ばれるものです。更にいつピークを作るかを数か月間、年単位で引いた視点からデザインするのが【期分け(ピリオダイゼーション)】と呼ばれ、パフォーマンスを最大化するためにトレーニング量を落とし疲労を抜くことを【テーパリング】と言ったりします。

もちろんこの考え方は競技スポーツだけに当てはまるものではありません。趣味のマラソンに向けてもOKですし、からだがうんぬんでは無いかもしれませんが受験なんかも決まった日にベストコンディションを作るという意味では正にそうですよね。少し応用的かもしれませんが体調を整えるために使える考え方ではあると思います。ただ、いきなり本番で試すのはやめましょう。当然一人ひとりに合った方法、タイミング、各要素のバランスがあるので教科書通りにはすべてが運びません。何度か練習して、最適なものを見つけていく必要があります。

こんな感じで、フィットネスと疲労とパフォーマンスを見ていく、更にはいつどんな組み合わせでトレーニングプログラムを立てればパフォーマンスを最大化できるかが逆算可能なのがフィットネス疲労理論です。

じゃあ、超回復って何なの?

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フィットネス疲労理論については長々と語ってきましたが、それなら超回復って何なんでしょうか?
結論からいうと【超回復】という言葉が当初指していた対象は筋力ではなく筋グリコーゲン(筋肉が動くためのエネルギー源)の量であると考えられます。それがいつの間にか筋力に置き換わってしまったんです。
参考までにそんな内容の論文https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3379704/を貼ります。

もちろんトレーニングすれば筋力は上がります。トレーニング初心者程そうです。トレーニングごとに扱える重量は増えます。トレーニング頻度が2~3日に1回だったら、その度に重量アップできるので「超回復、神!」かもしれません。笑
でも、その変化は超回復よりもトレーニング刺激による神経-筋の協調性が高まった要素の方が大きいと思われます。今まで動員できなかった筋肉を余すことなく運動に使えるようになったことが重量アップの理由です。その証拠に、トレーニングを続けていけば同じペースで直線的に重量が伸びていくことはありません。現状で動員できる筋繊維に達したとも言えます。

本来は、筋肉を動かすエネルギー源の量が一時的にトレーニング前を上回る状態になることを超回復と呼んだはずです。これも、トレーニングの効果です。次に同じ負荷が掛かった時に命を脅かされないようにからだが準備するんですね。筋グリコーゲンが増えれば、トレーニング量は増えるのでパフォーマンスが上がるのは確かです。色々な要素がぐちゃぐちゃになって「超回復=筋力の一時的なアップ」になったのかと予想します。

フィットネス疲労理論で考えましょう

positive young diverse teenagers playing basketball on outdoor court
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繰り返しますが、この理論の優れていると思うところは、未来予想ができる所ですね。かなり複雑な計算にはなるのですが、もしピークパフォーマンスを発揮したい明確なタイミングがあればその時にパフォーマンスを最大化できるようにトレーニングプランをデザインすることができます。この点が超回復理論とは大きく違うところです。

もちろん、これが正解で異論は認めないというわけではありません。
もし、どこかでトレーニングに行き詰ったらこの記事を思い出して少し目先を変えてみるのもありかと思います。
是非、参考にしてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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