【こむら返り】本当に水分、塩分不足?足がつる本当の原因は?

【筋肉がつる】経験は多くの人が持っていると思います。フィットネスなど運動に関わる業界でお仕事をされている方はお客さんの【つること】に対する悩みを相談されることも多いのではないでしょうか?水分不足や塩分不足が原因として挙げられるのは良く知られていますよね。

今回は、この【つる】という現象について書いてみたいと思います。

本当に水分、塩分不足が原因なのかな?
素朴に疑問です。 

composition of spoonfuls with various spices for healthy food preparing
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まずは私が実際に悩んでいるお客さんと接して、情報をやりとりしての肌感からお話したいと思います。

水分不足、塩分不足が原因と言われていますが、正直その話から改善の手応えをあまり感じたことがないんですよね。これはあくまでも私の持つ感想です。十分に知識を持ち合わせていないだけの可能性も高いです(本来これじゃいけないんですが…)。それでも、やはりしっかり改善したっていう声を聞いた記憶があまりないのが事実ではあります。

つってしまう原因は色々と複雑に絡み合っているはずなので、突き止めるのは容易ではないと思います。話をする時もあくまでも水分、塩分が不足している”かも” って言う感じでしか言えないのが歯がゆいです。できるのであれば、バチッ!と言いたいところです。何となく定説になっている水分不足、塩分不足に話を落ち着かせてお茶を濁すのがスッキリしないので調べてみました。

つる=意思と関係の無い筋の収縮

man with dumbbells in lotus pose on asphalt road
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つることを専門的には筋肉の強縮と言います。

本来、骨格筋という動きを作り出す筋肉は動こうという意思を起点に運動神経が刺激されることから始まります。その刺激は電気信号に変換され、対象の筋肉まで届くと筋肉内の様々なイオンの電荷を変えることで収縮を起こし意思を体現します。何気ない動きを作っている中身はめちゃめちゃ化学ですね。笑
更に筋肉は自分自身が収縮している情報を脳にフィードバックして目的の動作に適した刺激をもらうように常に調整を図っています。

かたや、つる時は全く意思と関係ないタイミングで筋肉が強く収縮している状態です。脳としてもはるか遠くの筋肉から感知していない情報が届くので処理しきれないわけですね。だから強く収縮し続けて痛いんです。

このつる原因が先ほどもサラッと書いた塩分不足(ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのイオン濃度の低下)を原因とするものが定説だと理解しています。それらの濃度を適切な範囲に留めないと正常に機能しないというところから水分も指摘されているはずです。

この状態、競技スポーツなど激しく動く場合は原因としてイメージがつきます。水分も塩分も物凄い勢いで体外に出て行っているでしょうからね。でもそこまで激しい運動環境にいない人が日常的に強い脱水、塩分などのミネラル不足に陥りますか?という疑問が残ります(暑熱環境では、感覚以上の脱水は考えられます)。少し実態にそぐわない気がします。意思に反しての筋収縮であることを考えると疲労での動作エラーや神経-筋のコミュニケーションエラーなんかの方が説明としては納得できると思います。塩分などとつることに関しての研究事例をいくつか紹介します。

【論文紹介】マグネシウム濃度と足のつり

selective focus photography of clear glass condiment shaker
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Magnesium for skeletal muscle cramps(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22972143/
骨格筋のつりに対してマグネシウムを摂取することで改善があるかどうか複数の実験を横断的に調査した結果があったので紹介します。

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妊婦、加齢、疲労、神経由来の運動器疾患(例えばALS)などの条件でつることが多いと前置きした上で、7つの論文から前述の条件に当てはまる406名分のデータを比較しました。これらの被験者はマグネシウムサプリメントを服用したグループと無治療グループ、プラセボグループ、その他のつりに対する治療を行ったグループとに分けられ、1週間で何回つるかの頻度やつりの持続時間などを4週に渡り調査しました。

結果としては、マグネシウムサプリメント服用グループに有意な改善は見られませんでした。
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あまりポジティブな結論は得られなかったようです。この実験でのマグネシウムって塩分とは違うんじゃないかと思うかもしれませんが、マグネシウムも筋肉の活動には必須の物質です。筋肉を弛緩させる働きがマグネシウム、筋肉を収集くさせる働きがカルシウムです。更によく言う塩分不足は塩化ナトリウム(食塩)の不足をイメージしますが、日本人においては塩分は摂り過ぎが指摘されるほどですよね。日本食は塩分濃度が高いことは良く知られたことでもあるかと思います。

以前、足をつった状態の体水分量、塩分濃度をチェックしたという研究を論文を見たことがあります。水分、塩分共に特に不足していなかったという結果が出ていたと記憶しています。私の記憶の限りでの話なので説得力が無いのが残念です。ソースを探しているのですがなかなか辿りつけていません…見つけたら追記します。

肝硬変があるとつる確率が上がる

black woman in pain on couch
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中等度の肝硬変を持つ人の実に80%に足がつるという訴えがあるとのことです(https://www.fukui-saiseikai.com/archives/003/201704/d0f94552193849b67e3a14564b78adf0.pdf)。
理由は肝機能が低下して、メチオニンと言う必須アミノ酸を吸収しづらくなるからです。メチオニンが不足すると筋肉のけいれんを抑えるタウリンやカルニチンという物質の生成も減少するのでつりを起こしやすくなります。この場合、塩分などのミネラル不足ではなくアミノ酸代謝異常が原因です。

こんな要因思いつきもしませんよね、知っているか知らないかの世界です。【つる=水分、塩分不足】で思考が固まってしまうと、もしかしたらからだからの重要なサインを見逃してしまうかもしれません。だから、その辺の水たまりレベルに浅くても広く知識武装できた方がいいと思っています。「もしかして…」という引っ掛かりがヒントになるかもしれないので。

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ここまで、つることに対してどんな原因が考えられるかを見てきました。
この記事の前半でも少し触れましたが、私は良くからだを動かす習慣が身に付けば改善するのではないかと思っています。

末梢の筋肉で色々なミネラル(塩分等)が十分にあって筋収縮を管理しているかどうかも間違いなく大切だとは思うのですが、それ以前に【筋肉と神経の繋がりを密にしておくこと】、【からだが動きを学習して縮む筋肉と緩む筋肉がスムーズに連携し効率よく動けるようになること】を高めていけるといい方向に向くんじゃないかと思っています。長座体前屈で腹筋がつりそうになるっていう声を聞くことがありますが、伸びる筋肉と縮む筋肉の連携不足のとても分かりやすい例だと思います。

もちろん個々に抱える悩みはあると思いますが、良く動ける人ほど「あちこちがつって仕方ない」っていう訴えは少ない気がします。
色々な角度から取り組んでみるのがいいかと思います。水分や塩分の調整をしてみるのももちろんOKです。それで効果を感じなければ、適切に動くことに目を向けてアプローチしてみるのも有効な手段だと思います。

運動するともれなく対水分は減少します。
冬ならまだしも夏は必ずこまめな水分補給と熱中症対策をした上で
運動すようにしてください。
最適な補給温度は5-15℃と言われています。

運動する上でより良い動きづくりもお手伝いできますので
お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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