【すべてはここにつながる】パワークリーンを完成させよう【ポイントは5つ】
今回は競技力をアップしたい、パフォーマンスを上げたい人のための記事です。
トレーニング初心者の方や日常生活の質を改善することを目的にしている方にとっては、
あまり有益なものにならないかもしれません。
対象となる方が限られてきます。
しかし、普段の筋トレで鍛えた筋肉を使えるものにするかどうか、
あなたのしたい動きの質が高まるかどうかの分かれ目になるとても大切な話です。
自分のものにするための方法を順を追って分解してお伝えします。
例え何も考えずに続けてもそれっぽくはなりますし、発揮できる瞬間的なパワーは大きくなります。
どれだけ変化を起こせるかはあなた次第です。
それでは順を追って説明していきましょう。
【結論】
力を効率的に伝える
重りをもってジャンプするだけ
パワークリーンはデッドリフトの姿勢から素早くバーベルを加速させ立ち上がるエクササイズです。
バーベルの移動速度はデッドリフトの何倍も何十倍も速く、
実際に行うあなたの感覚としても最大努力してバーベルを加速させる
集中力を必要とするエクササイズです。
単位時間内で(例えば1秒間のうちに)より多くの距離を移動させるためには、
出した力をいかに効率よくバーベルに伝え、
床から垂直に動かすためにその力を使えるかが大切になります。
つまりパワークリーンは動作の効率をアップすることにつながるエクササイズになります。
することはとてもシンプルです。
バーベルを持ってジャンプする
結論をいうとこれだけです。
これをいかに大きい重量で行うか、いかに速く行うかが大切になります。
ちなみにクリーンは英語で【Clean】です。
【きれいな】という意味のクリーンと同じです。
これは動作の全局面で自分のからだにバーベルが触れることなく行われることに由来します。
自分のからだを汚すことなく行うから Clean です。
【ウォーミングアップ】
フロントスクワット、肘の突き上げ

ここから、各局面を分解しつつクリーンを完成させていきます。
まずは準備運動を兼ねた動きとフォームの確認です。
クリーンのスタートはデッドリフトです。
デッドリフトの詳細についてはこちらも参考にしてください。
そして、フィニッシュはフロントスクワットです。
安定したフロントスクワットを行うには、
一般的なスクワット(バックスクワットと言います)とは感覚も注意点も異なるので
ウォーミングアップを使いゆっくりとした動きで確認、習得していきましょう。
腕の長さ、肩周りの可動性の個人差によっても最適なグリップ幅などが変わるので
あなたのベストフォームを探しながら取り組めると効率よく準備できます。
肘を前に”グッ!”と強く突き出したフォームを取れないと、
バーベルの重さを手首で受けることになりとても痛いです。
痛いと続けられないとフォームが定着しないので、上手になりません。


それを避けるためにも肩周囲の可動域を高めてしっかりしたフォームづくりに時間を掛けましょう。
【説明①】
バーベルを持って跳ねる
ウォーミングアップが終わったら、どんどんクリーン完成に向けて進んでいきましょう。
…と言ってもいきなりデッドリフトの姿勢から始めることはありません。
まずは、バーベルを握った状態で小さいジャンプを繰り返します。
1回1回のジャンプで膝が曲がり衝撃を吸収しすぎないように注意しましょう。
床に足が付いている時間をできる限り短くして反動を利用しながら小さいジャンプを繰り返します。
量としては10回を1セットにして2-3セット行うようにしましょう。
【説明②】
跳ねるからハイプル
上の小さいジャンプを繰り返したら「1-2-3」のリズムに変えます。
「3」のタイミングでバーベルをあごの高さまで上げるようにします。
このあごの高さまでバーベルを上げる動きを【ハイプル】と言います。
ポイントは腕の力で引き上げないこと。
跳ねる力をタイミングよく利用できると腕の力を使わずに
フワッとバーベルが持ち上がる感覚が得られます。
これがまた気持ちいいです。是非この感覚を身に付けてください。
バーベルであご、口を傷つけないように注意して行ってください。
【説明③】
跳ねるからキャッチ
ハイプルの感覚がつかめたら、次は【キャッチ】の局面です。
ハイプルしてあごまで上がったバーベルの下に素早く潜り込んで肩の前でバーベルを支えます。
この時の姿勢がウォーミングアップでも行ったフロントスクワットの姿勢で、
しっかり肘を前に突き出して手首に重量が掛からないようにしましょう。
ここがクリーンの終了姿勢、フィニッシュの姿勢です。
【説明④】
デッドリフトの姿勢を正確に取る

クリーンには
・床から行うパワークリーン
・膝の高さから行うハングクリーン など
どの高さからスタートするかでいくつか種類があります。
今回は床から行うパワークリーンを紹介しています。
バーベルの移動距離は長いので発揮するパワーはより多くなりますが、
加速の局面を大きく取れるのでスピードを意識して動くのには適しています。
グッドなスタート姿勢を取らないと動作スピードが速い分、
次々にエラーが連続しやすく、またそれに気づきにくいです。
早く上げたいからと焦ると、しっかり地面を押し切る前に上体が起き上がり
バーベルの軌道が安定しなくなります。
膝をかわすまでは丁寧にデッドリフトするように意識しましょう。
この膝の高さまで引き上げる動きを【ファーストプル】と呼びます。
【説明⑤】
床からハイプル&キャッチ
ファーストプルまで動作が進んだらその勢いを利用して更に加速します。
膝の高さを超えたら初めて上体が起き上がり股関節が爆発的に伸びるようにしています。
バーベルに骨盤を勢いよくぶつけるように意識するとフォームが取りやすいです。
つまり腰を前に押し出すようにしましょう。
この動きを【セカンドプル】と呼びます。
セカンドプルを意識して、床から一連の動きでハイプルまで動かしてみましょう。
ハイプルまでの動きの感覚がつかめたら、バーベルの最高点から素早く潜り込みキャッチしてみましょう。
これがパワークリーンです。
この時の股関節の動きに加えて、バーベルを持った腕は自分に向かって引き寄せるようにしてみてください。
スキージャンプでテイクオフする選手をイメージしてみてください。
ジャンプ台から飛び出す瞬間はからだが一直線になり、腕がからだの真横に位置していますよね
これをイメージしてみましょう。
【バーベルに腰をぶつける】、【腕を引き寄せる】この2つから分かるように、
できる限りバーベルは自分のからだの近くに置き続けたいんです。
この考え方は基本的な筋トレと同じで、バーベルなどの重量物は床から垂直に動かすのが最も効率がいいからです。
その軌道を取るために自分のからだをどう動かすかがポイントになります。
膝をかわした後、セカンドプルに入る直前に膝がバーベルの真下に位置する瞬間があります。
この点を私は重要視しています。
この動きが出ていない場合、股関節とバーベルの距離が大きくなります。
そのままバーベルをキャッチしようとするとバーベルが円を描くような軌道を取り、ぶん回すような動きになります。
これは、動作効率が悪いだけでなく、ケガのリスクも高いので注意が必要です。
【まとめ】
バーベルを持ってジャンプ
これでパワークリーンの一連の動きは完成です。
バーベルを持ってジャンプする
もう少し付け加えれば、
バーベルの軌道を垂直に保ったままジャンプする
これが今回、伝えたい最も重要な部分です。
各局面でポイントはありますがスピードが速い状態で全てを意識することは無理なので、
考え込みすぎず上記黄色ラインで示したようなシンプルな条件で動いてみましょう。
あとはこの動きを繰り返しからだに覚え込ませ質を上げていくことになります。
その際、目的に合わせて重さを増していくのか、スピードを意識していくのかをはっきりさせて取り組むといいです。
学問上、重さが増そうがスピードが増そうがバーベルに伝わるパワーは同じように高まるのですが、
・ラグビーのスクラムや相撲の取り組みなど動きの速さよりも押し切る強さが必要なのか
・サッカーなどのドリブルで細かいステップを踏んで切り返しながら素早く動くことが必要なのか
で同じ大きさのパワーを構成する割合が変わるからです。
素早く動きたいならトレーニングの段階から素早く動くことを意識すべきですね。
目的に合わせて取り組むようにしましょう。
今回は、スポーツでのパフォーマンスを高めるためのトレーニングをしてパワークリーンを紹介しました。
いくらスクワットで大きな重量を扱えても、実際の動きが遅いままではトレーニングが効果的だとは言えませんよね。
筋力トレーニングと各競技の動きをつなぐトレーニング種目だと考えてください。
これもまた、今日やれば明日できるようになるものではないので、多くの反復練習が必要になります。
根気強く続けるようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。