【よく聞くけど…】インナーマッスルを鍛えれば全て丸く収まると思いますか?
よく聞きますよね、インナーマッスル。
「見せかけの筋肉を鍛えても意味がない。」
「内側の筋肉を鍛えることでダイエット効果が!」
などなど
…
…
これ、本当でしょうか?
ビジネス的なキラーワードとして
使われてしまっている気がするんですよね。
パーソナルピラティスやってて言うのも何ですが、
ヨガやピラティス業界で
その傾向が強い気と感じています。
完全に独断と偏見です、異論は認めます。
何となく
「インナーマッスルさえ鍛えていればOK!」
的な誤解もありそうなので、
これまで自分なりに色々と見聞きし
勉強してきた内容も踏まえ
インナーマッスル至上主義に物申したいと思います!
インナーマッスルを意識的に鍛えるのは
ちょっと違う

まず問題提起したいのは、
「インナーマッスルって選択的に鍛えられるの?」
という疑問です。
Innerと書くくらいですから、
内側にある筋肉という意味ですよね。
外側の筋肉は動かさずに内側だけ動かしたり、
力を入れることってできそうですか?
その感覚って分かりますか?
私は正直よく分かりません。
いつどのタイミングでインナーマッスルに力が入って、
インナーが作用したらどんなことが起こったのか
全然意識できません。
筋トレって意識することが大事なはずですよね?
ここに大切なポイントがあると思っています。
「インナーマッスルは力を入れるものではなくて
勝手に入るものです。」
大切なことなのでもう一度書きますね。
インナーマッスルは意識とは無関係に
自動的に機能するもの
本来こうあるべきものだと考えています。
インナーマッスルの役割って何?

上の章にも書きましたが、
インナー(Inner)があるということは
アウター(Outer)もあります。
内側と外側です。
触れない筋肉、触れる筋肉
と言ってもいいかもしれません。
それぞれの持つ役割はどんなものなのでしょうか?
インナーマッスル
インナーマッスルの役割は姿勢の安定です。
姿勢が安定するからこそ
立っていても座っていてもバランスが保てるし、
腕や脚で大きな力が出せるようになっています。
言い換えるなら
体という構造物を地面に接している足裏の上に留める、
腕と脚を速く大きく動かすための土台になる
こんなイメージです。
アウターマッスル
一方でアウターマッスルは動きを作る筋肉です。
何気ない歩きやイスからの立ち上がり動作も
アウターマッスルが足首やひざなどの関節を
動かさないと不可能な動きです。
外見がムキムキに見えるのは
このアウターマッスルが発達しているからです。
見たり触ったりして存在を認識できる筋肉です。
インナーマッスルとは
ローカルスタビライザー(局所安定器)

別の視点から見ると、
インナーマッスルは隣り合う骨同士をつないで
関節の安定を図る役割を持っています。
局所の関節を安定させるからこそ、
骨格を安定させて姿勢維持を助けます。
(厳密には靭帯や椎間板、半月板などの組織も
骨格を支えています。)
小さく細かい筋肉が骨同士を近付けているので
筋肉の始まりと終わりがすぐそこにあるイメージです。
一方でアウターマッスルは股関節と膝をまたいだり
肩と肘をまたいだりする筋肉の始まりと終わりを
持っていたりします。
このような筋肉は2つ以上の関節をまたいでいるので
多関節筋と呼ばれます(多関節筋だけがアウターマッスルではありません)。
筋肉が骨に付いている箇所に距離があるので
この筋肉が収縮すると関節が大きく動きます。
故に動きを作り出す筋肉です。
アウターマッスルは
局所的な安定を生み出すインナーマッスルに対して
全体的な動作を生み出す器官として
グローバルモビライザー(全体稼働器と訳してOK?)
とも呼ばれています。
アウターマッスルを鍛えると
インナーも自動的に鍛えられる

インナーマッスルとアウターマッスルは、
インナーが姿勢を維持して土台を安定させるから
アウターが機能して強い力を出せる
こんな関係にあります。
別の見方をすれば、
アウターが強い力を発揮するためには
その直前にインナーも強く収縮して
姿勢を安定させる必要がありますよね。
この「強い力を発揮する」は
そのまま筋トレ動作に置き換えて考えられるので
特別なことをしなくてもインナーマッスルと
アウターマッスルが筋トレ動作の中で
同時に鍛えられています。
日常以上の負荷に耐えるため無意識かつ自動的に
姿勢の安定性向上が要求されるので、
先に述べた
「インナーマッスルは力を入れるものではなくて
勝手に入るもの」
というところとも合致すると思っています。
実際のスポーツ動作や改善したい日常動作に
近い動き(ジャンプにつながるスクワットや
階段の昇り降りなど)を反復するので、
トレーニング効果が現れやすいこともメリットです。
こんな考え方をエコロジカルアプローチと呼びます。
インナーマッスルを優先的に鍛える必要性は
本当に無いのか?
ここまでアウターマッスルを筋トレなどで鍛えることで
自動的にインナーマッスルの動員も増えて双方ともに
鍛えられるということを説明してきました。
ではインナーマッスルにフォーカスしたトレーニングは
本当に必要ないのでしょうか?
結論、そんなことはありません。
インナーマッスルを優先的に鍛えるべきシーンも
もちろんあります。ケガからの復帰です。
トレーニングから離れていた期間が長いほど
筋肉の量と機能は低下してケガ以前の負荷に対する
準備性は不十分な状態です。
そんな時はまずジッと同じ姿勢を保つような
体幹トレーニングやひざがブレないようにもも前の筋肉を
活性化するような種目を優先的に選択していくことを
おすすめします。
ふらつきやブレが少なくなってきたら
少しずつ難易度や負荷量を増して
トレーニング強度を高めていけば
スムーズに身体機能を回復させられます。
こう言った順序を踏んで競技復帰することを
アスレティックリハビリテーションと呼びます。
インナーマッスルは勝手に機能するもの

ここまでインナーマッスルの役割やアウターマッスルとの違い、
互いの関係性を説明してきました。
ケガや痛みが長く続いたあとはインナーマッスルを
先に活性化する方が安全ということもお伝えしました。
色々と書いてしまいましたがやっぱり最終的に伝えたいのは、
「インナーマッスルは力を入れるものではなくて
勝手に入るもの」であるという考えです。
ケガで優先的にインナーマッスルに対するアプローチは
永遠に効果を発揮するわけではありません。
身体機能の回復と共に掛かる負荷に対するトレーニング効果は
目減りしていくことが世の常だったりもします。
そんな理由から、
同じインナーマッスルトレーニングを続けることは
あまりおすすめできません。
掛ける時間の割に効果が薄くなります。
加えて、トレーニング効果は動作に対する依存性が高いので
目的とする動きに近い状況でトレーニングした方が
いい結果を生みやすいです。
野球が上手くなりたいのにサッカーの練習をしても
大きな効果が期待できないように、
フロントブリッジが上手くできるからと言って
スクワットのパフォーマンスが大きく改善するとは
限らないということです。
これはスクワットという動作の中で適切に
インナーとアウターが連動できていないことが
原因として挙げられます。
インナーもアウターも個別に見れば、
十分な能力を持っているのに上手く協働できないから
パフォーマンスにつながらないということも
結構あるんですよ。なんかもったいないですよね。
多くの場合も決して究極のトレーニングフォーム獲得が
目的では無いはず。
トレーニングを更に次の目的につなげたいから
頑張るんですよね。
そのためにもインナーマッスルトレーニングで
終わってしまうのはもったいないと感じます。
動作につなげていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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